理事長あいさつ

(公財)岡山県
アイバンク

理事長 

大野 敦史

 本年8月から公益財団法人岡山県アイバンク第6代理事長を拝命しました大野敦史です。私は平成24年6月から4年間岡山県アイバンクの評議員を務め、令和4年からは常務理事を務めてきました。この度、理事会並びに評議員会のご承認をいただき、理事長に就任しました。責任の重さを痛感しています。

 岡山県アイバンクは、昭和32年に岡山労災病院内に「岡山県眼球銀行」が設立されたことに始まり、平成5年に、多くの関係者の方々の熱意とご尽力で「財団法人岡山県アイバンク」が設立されました。そして、平成23年に「公益財団法人岡山県アイバンク」に移行して現在に至っています。私は法人設立の頃をよく知らない世代ですので、これまでの活動については、「アイバンクだより」を読んで勉強してきました。その中には、多くの方々の燃え上がるような情熱と努力によって財団が設立されたことや、その後も多くの皆様のご尽力でアイバンクの活動が行われてきたことが書かれています。しかし、法人設立後約30年が経ち、岡山県アイバンクを取り巻く環境が大きく変わっているのも事実です。力不足、経験不足の新米理事長ではありますが、理事、評議員、事務局、移植コーディネーター、角膜専門医ならびに関係医師、岡山県庁、岡山県臓器バンク、ライオンズクラブ、関係諸団体などの皆様と力を合わせて、現在の状況に即した活動を継続できるように努めていきたいと思います。

 岡山県アイバンクでは、法人設立から令和6年度までに、献眼登録者6,672人、献眼者210人、献眼数408眼を数えています。一方、県内の移植希望者の登録数は次第に減少し、令和元年度からは0人が続いています。その理由として、長年岡山県内には角膜専門施設がなく、角膜移植を受けるには県外の専門施設に行かざるを得なかったことが考えられます。しかし、昨年4月から岡山大学病院眼科に角膜専門外来が開設され、最先端の角膜手術を受けることができるようになりました。今後は、県内で角膜移植を希望される方が増加するに違いありません。そして、それに応えるためには、岡山県アイバンクの活動がますます重要になってくると思われます。

 一方、岡山県アイバンクの財務状況は悪化しています。アイバンクの運営資金は、基本財産の利息や運用益、運営協力会員の会費、寄附金、補助金、募金、眼球斡旋手数料などです。1億1,000万円の浄財を基金として財団を設立した当初に比べると、その後の低金利政策によって利息や運用益が著しく減少しています。この数年間は、赤字決算が続いています。今後、啓発活動をより活発に行い、ドナー登録を増やし、献眼という形で「目の不自由な方に愛の光を」届けるためには、安定した財務状況が必須です。利息や運用益の増加は当面期待できませんので、運営協力会への入会や募金箱設置機関が増えるようにお願いし、また一般寄附のご協力をお願いするなどの不断の努力が、アイバンクを維持していくためには必要であると考えています。

 献眼という崇高な善意が、速やかに安全に、角膜疾患で苦しんでいる方に届くように、これからもアイバンクの使命を果たしてまいりたいと思います。皆様のご支援、ご協力を、何とぞよろしくお願い申し上げます。